芸事以外の道

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俳優活動を辞めると発表した友人が何人かいた。
特に毎年四月あたりに発表される「ご報告」に心穏やかじゃないファンの方たちもいると思う。

俳優っていうのは、何が正しいのか、いや正解なんてないんだけど、とにかくどの状態においても安定した生活を送ることが厳しいと思うし、彼らが過去に演じた作品や一緒に触れ合えた時間は消えないのだから、それらに感謝して、ただ幸福を祈っている。応援する力が足りないからだなんて思わないで欲しいし、仮にそうだったとしたら芸能界のシステムが間違っていると思うし、実際間違っている。

僕は俄然、芸事を続けていきたいけど、生きてゆくのにお金は必要で、かつ生活の見通しが立たないと、どれ程傷つき、健康な思考を保てなくなるかは身をもって知っているから、もしUK2年間の滞在のうちに創作し続ける目途が立たなさそうだったら、一度生活が安定しそうな道を整えた上で演劇と関わる道を探したいなと思っている。

「大学も出ずに、就職もしたこと無いような人が社会人になんてなれるわけ…」といじけたりもしていたんだけど、演じる能力や相手の台詞をきちんと受け止め解釈する能力は、仕事上のコミュニケーションに活きるし、制作・運営した経験はめちゃくちゃ応用が利くことが最近分かった。CVを書いているときに「クリエイティブチームを結集し劇場と交渉を進めながら、プロジェクトをマネージメント」と言える事に気が付き、書きながら驚いた。

ちょっと勇気いること言うけど、誰かをサポートしたり、社会的に力の弱い方たちの手助けをできるようなことをして生きていきたいと思う。人から助けられるとありがたいし、人を助けられたかもと思えると、それもそれでありがたい。死に際に孤独になっても「でも、あの時手を差し伸べることできたのは良かったよな」と思い出したい。自分のために。


そんなこんなで今のところ考えているのは、まずはキャリアコンサルタントか行政書士の資格を取ること。どちらも国家資格で、難関なのは百も承知なのだけど、英語の勉強をきついと思いながら楽しめているのもあって、意欲もある。すぐに抜本的な改革を起こしたくなってしまうので、恐らく長期的な会社員よりは個人事業主でいるほうが向いている。日本はフリーランスに厳しい国だけどさ。

一度就職をしたり、他の資格を取ったりする必要もあるだろうけど、落ち着けば独立して働ける。そのうえ上手くいけば、創作活動との両立も。どちらにせよ、それ単品で仕事をするというよりは、その中でも自分の専門を見つけたり、他のスキルと掛け合わせるのが大事っぽくて、それにはエンターテイメント周りの知識やら、ロンドンでの生活も活きるだろう。もし、行政書士になれたらいつか、入管業務の透明性を高めるために尽力できるかもしれない。

と、一応計画を立てることによって、少し気持ちが楽になった。もちろん試験の難しさとか、案件獲得の困難など、私が視えていないことはたくさんあるだろうけど「俳優としての仕事が無くなったら・創作したものが世間に認められなかったら、もうおしまいだ」と考えなくて良いのは、ホッとする。何を隠そう昔の日記はそんな記述で埋まっている。でもその必要はないことが今は分かる。

Amazonのアフィリエイトを試してみたけど、ヴァージニアウルフの「自分だけの部屋」が一冊売れた(それはサイコーすぎる)以外は、売り上げがなく「うちらの基準を満たしていないのでアカウント停止すんね」と言われたので、辞めました。そもそもAmazon下の労働環境やら、小売店を脅かしつづける姿勢、物を売るという資本主義にも疑問があったので、ちょっとスッキリ。

しかも先日読者の方から、広告が無くて読みやすいと言ってもらい、こんな記事を読んでくれる人がいる。という豊かさを広告なんかで邪魔したくないと思ったので、ロンドン生活の紹介コード以外はやらないつもり。また依頼されて記事を書いたりもできますように。