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  • 北野武「首」は、クィア映画ではない

    北野武「首」は、クィア映画ではない

    ロンドンでQueer East Festivalのオープニング作品として北野武の「首」を鑑賞した。ホモエロティックなシーンは確かに描かれているが、誰も男色に思い悩んでおらず勝手に生き生きとヤリ合ってる潔さが、ある意味ラディカルで面白い。西洋的価値観の影響がまだ弱い頃の日本。

    しかし一方で、ビートたけし演じる秀吉の、どこまで出世しても武士や男色の美意識の中で生きられず、壊れた望遠鏡で戦地を覗く外野の「百姓上がり」に過ぎないという悲哀、そしてそれを凌駕するシュールな面白さの複雑さと比べると、男色の描写はとたんに甘くぼやけてしまう。だから、これはクィア映画ではない。いや、Queer Eastが勝手に招致したわけだが(この団体自体はすんごく応援中)

    裸で横たわる光秀と村重の布団は驚くほど乱れておらず乾燥していて、匂い立つものが何も無い。たびたび挟まれるキスシーンにも、出世を目論む瞬間や、生き死の瀬戸際より遥かに薄っぺらく、「なんかまあ、北野武監督が言ってるし…頑張るか…」といった気おくれしている空気すら感じる。

    ゲイじゃない俳優や演じたりすることで、躊躇や無理解がにじみ出てしまうのであれば、どうしてクィアなクリエイティブ陣やら俳優陣、あるいはインティマシーコーディネーターの力を借りられないのか。実は「出世のために男色まがいをしている」という演出であれば、その白々しさに意味が宿ったかもしれないが、「百姓」である秀吉が理解できないほど燃え上がっている描写としては不十分。

    唯一、予告編にも登場する信長が刀の先についた饅頭を村重に食べさせ、血みどろになった口に接吻をするシーンは、三島的な倒錯感と迫力に満ちていた。好みではないが。

    あんなにチュッチュしてるのに、予告編には一切登場しない

    別に生々しくする方向じゃなくても、男色をもっと面白く、もっと気まずく描く方法は無数にある。他のシーンと同等か、それ以上に。

    これだけ予算をかけて、男色をロマンス以外の形で描こうとする試み自体は非常に面白く、どうにか助成金を貰って短編作品を作っている各国のクィアアーティストから相当な嫉妬を集めているだろう。だからこそ、監督・北野武には作中の秀吉のように「わかんねえや」で済ませないで欲しい。

  • Kubi (首) is not a QUEER FILM.

    Kubi (首) is not a QUEER FILM.

    I watched Takeshi Kitano’s Kubi as the opening film of Queer East Festival in London. The freely and vividly homoerotic scenes are certainly there, and no one seems to be conflicted or tormented about their desires. That kind of unashamed vitality feels, in a way, such a radical especially, as a historical Japanese film. It is a Japan from before Western values took hold.

    That said, when compared to the bittersweet complexity of Beat Takeshi’s portrayal of Hideyoshi—a man who, no matter how far he climbs the ranks, remains a mere “peasant-turned-general,” always on the outside looking in through a broken telescope, unable to live within the aesthetics of the samurai class or their appreciation of gay love—the depiction of queerness in the film becomes suddenly shallow and vague. Which is why I’d argue; this isn’t a queer film. Sure, it was just Queer East invited it (and to be clear, I wholeheartedly support itself).

    Take the scene where Mitsuhide and Murashige lie naked in bed. The Japanese style bed is bizarrely tidy and dry there’s not even a trace of sensuality. The repeated kissing scenes, too, feel far more superficial than moments of ambition or life-and-death stakes. There’s even a sense of hesitation in the air, like: “Well… Kitano says so, so I guess I’ll give it a try…”

    If having straight actors play these roles leads to awkwardness or a ignorance, then why not bring in queer creatives, queer actors, or even intimacy coordinators? I’m here! Although I’m in London though. If the intention had been to show characters engaging in same-sex acts just for the sake of social climbing, then that hollowness might have made sense. But if we’re meant to believe that the peasant-born Hideyoshi is witnessing a passion so intense he simply can’t understand it. It’s just not convincing.

    The one exception is the scene, also featured in the trailer, where Nobunaga feeds a manju off the tip of his sword to Murashige, then kisses his bloodied mouth. That moment had a perverse Mishima Yukio-ish esque intensity to it, powerful. For my desclaimer.Not really to my taste.

    Despite all the kiss scene in the film, not a trace of it appears in the trailer.

    It’s not that things have to be explicit. But there are so many ways to make queerness feel funny, tense and awkward.

    The ambition to portray historical gay relationships in a form other than romance, and with this kind of massive budget, is genuinely intriguing. I imagine queer artists around the world—myself included—who are scraping together grants for short films, are wildly envious. And that’s exactly why I hope Kitano Takeshi, as director, won’t just brush it all off with a “dunno, man” like his Hideyoshi character does in the film.

    ★★★☆☆

  • Drag Me a Name!

    Drag Me a Name!

    Am I a drag?

    Well, I’ve played three different drag queen roles on stage, and I’ve snuck some sneaky drag into a few parties. But I’ve never actually claimed a drag name of my own… not yet.

    Some of my dream roles are Angel from RENT, Hedwig from Hedwig and the Angry Inch, and Benten Kozō from Kabuki. Certainly, I’m also very down to play Mimi or Rapunzel—I’m versatile like that.

    Back in Japan, most actors avoided announcing their sexuality or gender identity publicly. I followed that unwritten rule. But here in the UK, especially theatre world, sharing your pronouns is totally common. I’ve felt much freer to represent and support the queer community since I came out as non-binary last year (I know, but a big step for someone from Japan). It feels amazing.

    I’ve been lucky to play a few drag roles in the UK—and I realised that my drag could actually inspire people and make them laugh. And drag lives in theatre, in cabaret, on the scratch night. That opened up a whole new world for me. Could I expand my creativity through drag? Could I find a persona that blends theatre, gender, and thoughts in my own way?

    I’m currently applying for a drag scratch night, produced by Matti and Bard the Beholder. Which means—it’s time to drag my drag name. Wouldn’t be the most exciting?

    So… what kind of queen am I?

    My Werk Room entrance line would definitely be: “I AM the DRAMA QUEEN!” Obviously. Theatre references are a must. But I don’t wanna too niche because I am already niche. So, what else? Something shoutable. Some name ideas I’m playing with…

    My Fair Neki

    “Neki” is Japanese net slang for “sister,”. I’m in London, I’ve got a massive accent (not Cockney, sorry)—it seemed perfect. But “Neki” is pretty minor, and might not clearly link back to Japanese culture for people here. Still, I will perform as My Fair Neki at some point, I promise.

    Showgirl

    My real name is Shogo, and people often struggle to pronounce or remember it. I tell them like “Just think SHOW must GO on.” or, “Call me Showgirl!” but it’s a just me, not a separate persona. Although, for my disclaimer, RuPaul is RuPaul.

    Something with ‘Amor’?

    My family name is Amo (天羽), which means angel wings or sky wing but I’ve been crawling through a grounded life. Not winged anymore. Sound-wise, it’s close to amor, but I’m not that familiar with Spanish or Italian culture, so I’m still hesitating. Also, I’m not romantic.

    I should’ve brought my red heels and wigs from Japan. I want to avoid buying mass-produced dresses, but I’m also not great at sewing… So there will be challenges. But yeah, even if I walk on stage in jeans and a white t-shirt, I can just say “This is a Jamie Lloyd–style drag queen.” Conceptual. Theatre darling.

  • 効率化で僕の首が切られそうな話

    効率化で僕の首が切られそうな話

    効率という言葉は好き。身体は一つだし、時間は有限だし、貧乏暇なしなので、どうにか日常を効率化させようと、お恥ずかしながらライフハックと呼ばれるものをいくつか実践していたりする。でも弊社にとっては僕自身が「効率的」じゃないっぽい。

    ロンドンのレストランで働き始めてから1年半になる。早くガラスの靴で闊歩したいのだけど、まだ演劇の王子様のお迎えは来ない。とはいえ、日々競争な演劇と違って、レストランのバイトは「求められることは出来る。しかも、結構良く出来る。だってボスに時給上げてもらったし、なんならちょっとおばさんになってるし」と、自信を持って働けるので、何とか続けられている。

    そんなレストランも、徐々に変化し、カクテルの素が工場から送られてくるようになり、支払いはQRコードになり、負担が減ったぞ~と喜ぶも束の間、注文から支払いまですべてスマホで行うアプリが導入された。そう、演劇の片手間に働く奴なんて、もういらないのだ。シンデレラ、王子を待っている間にお家を追い出されたらどうなっちゃうのー?!の巻。

    スーパーやコンビニ、ファストフード店は、ほぼセルフレジや注文システムが導入されているし、毎年上がる時給は労働者にとっては助かるが、企業にとっては足かせだ。分かるもん。人件費考えなくて良いなら、アンサンブルが無限に出てくるミュージカル作ってるもん。

    システムが発展途上なこともあって、常連さんはイライラするし、店長やウエイターたちからも不満続出、しかも運営側は「お客さんとコミュニケーション取ることを忘れずに☆アップセールス☆」と抜かしやがるので、こりゃイギリス名物のストに加われるかなと楽しみである一方、「効率化」ってこういうことだよな。としみじみしている。イーロン・マスクに解雇された米政府の職員の気持ちが微塵だけ分かるよ。きっと。

    僕が今までした接客だって、どれもが売り上げに結びついている訳でもないし、観光客の多いロンドンでリピーターがどれほど見込めるのかなんて不明。何度も傷ついたり喧嘩したりもしたけど、どうにか自分ができるサービスを、自分のやり方で提供できる自由は、小さいけど大事な働きがいでもあったなと思う。そして、真っ先に削られるのが末端の労働者で、働くにしろ、辞めるにしろ、白人中年イギリス人男性の懐を守るための道具なんだなーと思うと、あれ、やっぱり、労働ってクソですか?(割と働くの好きなのに!)

    正直言えば、真面目に1年半働いているので、すぐに僕が首になることはないんだろうけど、学校に通っている間や、語学がままならない時にもできる仕事が少なくなるかもしれないという不安はある。しかし、歴史をみれば、形を変えずに残っている仕事のほうが少ないくらいだし、介護や公共サービスにも目を向けて自分の副業を考える良い機会かもしれない。

    全然便利でも効率的でもない舞台は、そうだと自覚した上で真向に時代に逆らってゆけば、それだけで面白いかも。ロンドンでも日本でも景気の良い話を聞かないし、お金儲けには向いてないのに、観客は高いチケットを払わなきゃいけないなんて、超が付く不条理劇。ボロボロのドレスのまま舞踏会に繰り出して、ノブリスオブリージュを掲げよう。

  • 2025年ロンドン生活費

    2025年ロンドン生活費

    最低賃金も上がるが、インフレも進むロンドン。何かが安くなったのを見たことがありません。去年に引き続き、ギリギリに削っている貧乏生活をしていますが、あれ、ジリジリと上がってない?

    1年経ってちょっと目線が変わってきたロンドン生活を振り返りながら、2月の生活費を公開します。

    2025年2月総支出

    CategoryBudgetSpend円換算(£1=190円)
    家賃・光熱費£800£800152,000円
    食費£150£134.4725,550円
    交通費£120£15529,450円
    健康・美容費£70£00円
    通信費£10£101,900円
    外食費£130£36.496,934円
    芸術・教育£150£238.1344,485円
    雑費£60£22.064,192円
    合計£1,490£1397265,430円

    去年より高い項目は赤字・太字にしています。

    家賃・光熱費 £800

    明るい寝室の写真。大きな窓には白いブラインドがかかり、外にはレンガ造りの住宅が見える。部屋には緑の模様が入ったベッド、黒い編み椅子、木製のライティングビューローが配置されている。壁際にはグレーのチェストの上に大型テレビが置かれ、壁には丸い時計が掛かっている。

    £100ほど値上がりしましたが、これは去年の引っ越しが理由ですね。生活費の大半を占めているので安くはないですが、居心地の良いフラットなのでラッキーだなとも思っています。今も写真にある窓辺のライティングビューローでブログを書いていますが、この小さな机がとっても落ち着きます。

    家賃の値上がりはイギリス人でも辟易としていますが、まだしばらく続きそうです。そういえばこの間、ロンドンの川にナローボートと呼ばれる船で生活する物件を見つけて、£1050なんて、誰かと住めば意外とありなんじゃ…!と思ったのですが、めっちゃくちゃ寒いらしいです。そりゃそうだ。

    食費 £134.47

    白い皿に盛られたソイミートと野菜の炒め物、木の器に入った豆腐とわかめの味噌汁、茶碗に盛られた白ご飯、トマトと葉物野菜のサラダが並ぶ和食の食卓。箸と箸置きが添えられ、編み目模様のランチョンマットの上に配置されている。

    これはまた全然参考にならないのですが、うちのフラットは仲が良く基本的に誰かがみんなの夜ごはんを作るんです。それはめちゃめちゃありがたいのですが、去年のようなギリギリ食生活というよりは割と豊かなお家料理を食べることになったので、だいぶ値上がりしましね。ただ、外食を減らして、お家ご飯を贅沢にしたり、友達とご飯を食べたいときも餃子パーティーや鍋をお家でやることによって、バランスが取れています。

    ロンドンにはWASOと言う、日本食品の配達サービスがあり、お米が£20(3800円)で手に入ります。今日本のスーパーでお米の値上がりが激しいと耳にするので、日本の農家さんを応援するためにも、ふっくらして、甘みがあるお米の為にも、ちょっと贅沢を始めました。

    ちなみにLidlという激安スーパーに行けばジャスミン米が安く手に入り、給水を1時間くらいするとふっくらと炊けて美味しいです。

    交通費 £155

    これはひいひいしています。最近また交通費が値上がりしました。ロンドンにはピークタイムとオフピークタイムという概念があり、混雑緩和と売り上げ増加が同時に行われています。せこく、頭が良い。最近演出家としてのWSに通っておりまして、どうしてもピークタイムに乗るので、毎日のように一日の上限・Daily capである£6.95(Rail Cardあり)や£8.90(Rail Cardなし)が消えていきます。

    1時間以内の距離であれば歩いたり、走ったりしてできるだけ節約を心掛けています。しかしね。交通費と言うのは必要経費ですし、歩いて疲れてカフェに入ったら本末転倒なので、食費に続いてちょっと財布のひもを緩めるようにしています。

    ちなみに、この価格が毎月£175を超えるようになったら、電車の1年間フリーパス(£2100)を検討してもいいかもしれません。いつでも電車乗り放題だと思うと、もっと気軽に町遊びができるかも。

    健康・美容費 £0

    ちょうど美容院にも病院にも行かなかったので、£0でしたが、そろそろ歯の定期健診(£26.80)にも行きたい。健康第一ですよホントに。

    通信費 £10

    去年と変わらず、20GBを£10で使えるgiffgaffを使っています。ロンドンは相変わらず電波が不安定ですが、割と慣れました。ちなみにgiffgaffは日本に無料でSIMを送ることもできるので、イギリス到着後すぐにSIMを使いたい!という時も助かります。上記のリンクから申し込んでもらうと、お互いに£5の追加クレジットがもらえます。

    外食費 £36.49

    うどんの上にあぶらあげ、ネギ、ナッツ、香辛料がのった料理の写真。横には天ぷらの盛り合わせがあり、さつまいもやれんこんの野菜天ぷらが並ぶ。奥には薬味がのった揚げ出し豆腐が木の器に盛られている。

    コーヒーをテイクアウェイしたり、パブでビールをハーフパイント頼んだり、サービスチャージが気軽な方法で、なんとか凌いでいます。ほんとにほんとにロンドンの食事は高い。一度行ったのはKOYAというロンドンのうどんやさん。麺にコシがあって、しかも自分で作りたくない(作れない)天ぷらを出してくれているので、いそいそと行ってきました。美味しかった…!ロンドンで日本食恋しくなったら是非。SOHOはいつも行列だから、ハックニーのKOYA KOもおすすめ。お腹すいたらポテトチップかパンを買いにスーパーに走ります。いつからポテトチップスがおやつじゃなくて主食に数えられるようになったんだろうイギリス…

    芸術・教育 £238.13

    劇場のステージ上で、ピンク色の紙吹雪が舞い散る中、出演者たちが観客に向かって挨拶をしている。背景には大きなハート型の装飾があり、ステージには椅子やテーブルが配置されている。観客席からの視点で撮影された写真。

    これはもう、他を節約する分ガンガン使いますわよ~~!のコーナー。もちろんお金持ちだったり、仕事いっぱいしたりするなら別だけど、特にYMSでロンドンに来る人たちは日本と同じ生活水準や、便利さ、超キラキラ生活を送るのはなかなか難しいと思います。だけど、もし絞るなら、「何が自分をはるばるロンドンまで引き寄せたのか」を具体的にイメージするのは本当に大事だと思っています。語学なのか、旅行なのか、グルメなのか、アートなのか、フットボールなのか、友達作りなのか…

    ちなみに舞台のチケットは早めに買えば買うほどいい席が取りやすいですが、評判が悪く空席がたくさんある場合は後から買ったほうが安かったりもします。僕は演出家や題材で選んで、チケット情報が出た瞬間に買うようにしています。基本的に一番安いのは劇場や公式HPから買う事ですが、TodayTixというアプリだと一覧で観れるので買いやすいです。ちなみに自分の席からの眺めがどんな感じなのかを観れるSeatplanというサイトもおススメ。

    映像系のサブスクは毎月一つまでに絞っていますが、イギリスに居ればBBCの作品が観れるBBC iPlayerやドラマなどchannel4など、無料の配信サービスもあります。ルポールのドラァグレースUK(Season2がオススメ)やFlowersという日系イギリス人のWill Sharpeが書いたダークな家族ドラマが最近のお気に入りで(変な日本人が出てくるけど)、Netflixで作られる日本のドラマと民放ドラマが違うように、国内向けのイギリスドラマも深い世界があり、カルチャーと結びついてるなと最近思います。いつか出たり関わったりできるかなー。

    雑費 £22.06

    ドキュメンタリー「今すぐ購入」やらノマドランドを観ると、あんまりAmazonは使いたくないのですが、ここでしか手に入りにくいものや価格の安さにやられて、一カ月に一度買い物をしています。アマプラに入っていないので、送料が掛からず、割引が適用されるサブスクに登録して、リップクリームやシャンプー、プロテインや洗剤などを買っています。いらないものや価格の上がった商品のチェックを忘れずに。

    番外編・特別な出費編

    今月は無かったのですが、例えば友達に誕生日プレゼントを買う(£50)といった小さなものから、演出のワークショップに通うことになった(£600)、日本への一時帰国(£900)、家賃のデポジットを払う(£800)などなど、急な出費が増えて参りました。流石に1年半もロンドンジリ貧生活をしているので、ちょっと旅行行きたいなーとか、お洒落したいなーとか、ネイルやりたいなー、みたいな欲が到来しています。そして何と言っても、VISA申請しようかな~\\£6000//がヤバい。

    最低でも1~2か月分の生活費を貯金しておけると、安心かなと思います。

    合計 £1397

    川沿いの風景。左側にバルコニー付きの現代的な建物、右側に木々とベンチのある遊歩道が続く。奥には橋と船が見え、背景には青空と雲が広がる。
    ハックニーの川沿いをお散歩するのは最高

    去年より£100ほど毎月の生活費があがりましたね。恐ろしい…。現在将来のことを考える時に月に£1500あれば生きていけると見積もっていますが、一年ごとに£100くらい増えると計算し直したほうが良いかも。最低時給くんも上がり続けますように。

    ロンドン生活はどうだろ。去年と変わったところも、同じようなこと言ってるようなところもあるけど、「ロンドン生活!」って意気込まなくなってきたかも。日本に帰ることになったらそれはそれで比較してみたいな。外食もしちゃうだろうし、ちまちまとしたものを買っちゃうだろうし、芝居のチケットは日本のほうが高いし、更にひいひい言ったりして。

    こないだ先輩に「最低限暮らしていけるくらいの生活費を演劇から貰えたら…」と話したら「え、たまには美味しいお酒とか飲みたいよー」と返され、それも確かにそうだなと思った。今は節約生活してるけど、これが美しいと言うつもりもない。お金あったら、いい席で芝居を観たりレッスンを受けたりできるし、劇場やコミュニティに募金したり、後輩にはちょっと奢ったり、気分が上がるヴィンテージのネックレスでも買えるかも。ということで、お仕事お待ちしております&下記紹介URLよろしくお願いいたします!

    イギリス生活御用達アプリ

    イギリス生活や海外生活で使うあれこれには、友達紹介ができることが多く、もし下記のリンクを使っていただけたら、お互いに特典があるのでとても嬉しいです。ちなみに、各サイトやアプリの使い方は「○○ 使い方」で素晴らしい記事たちが出てきます。

    WISE:安くて分かりやすい手数料で海外送金できる。海外生活必須なアプリ。デビットカードも作れるので、海外旅行の際にもお勧めです。 紹介リンク経由で75,000円分の送金手数料が無料になります。

    MONZO:イギリス在住者向けの無料で作れるオンラインバンクです。給料の振込口座として使うと1日早くお給料を受け取ることができます。お互いに£10もらえます。

    giffgaff:日本に無料でSIMを送ることができます。そのため現地に着いた瞬間からスマホを使えるので安心しました。このリンクからの申し込みで、お互いに£5獲得できます。

    もし、この記事書き手の天羽尚吾を知らないよ~という方がいましたら、作品をご覧いただいたり、InstagramBlueskyをフォローしてもらえたら嬉しいです!質問もいつでもお寄せください。

  • 石橋と、おばさんと、ミュージカル創作の時代性

    石橋と、おばさんと、ミュージカル創作の時代性

    石橋を叩いて、撫でて、対話を試みて、遂に渡ろうとしたところ、こよりで出来た橋を選ぶみたいな人生を歩んでいます。渡れよ。

    渡英から1年半経ち、どっしりとした時間を過ごそう…と、思っていたら、急遽(ちいさな)ウエストエンドデビューし、演出家のWSを受け始めたら思ったより課題が忙しく、別口でミュージカルの執筆をしたり、翻訳や異文化交流を主軸に置いた演劇制作のWSに採択され、某ミュージカルのオーディションの審査が進み、予定変更に伴う連絡をしていたら「まずは、おめでとうじゃん」と言われ、少し反省したのでした。喜ぶの忘れて、もう次の石橋叩き始めてた。


    岡田育さんの「我は、おばさん」(文庫本発売おめでとうございます)を読んで、そうなんだよ「おばさん」になりたいんだよ。って思ってから、どうにか飴ちゃん突っ込めないものか模索していた。1年以上も飲食店にいるとベテランになってしまい、仕事の半分が新人教育になるも、演出の勉強じゃ。と頭を切り替えて、一貫性を重視しつつ、伝えるだけじゃなくて己のやり方を探す時間も残す。みたいな心がけをしていたら、一部の新人たちが凄い頼りにしてくれて、忙しかった日の後に「ほんとに忙しくて、教えてもらったように引継ぎができなかったの、ごめんなさい(><)」と長文泣き言メッセージが届いて、「あなたはあなたの仕事を十分にやりましたよ。わたしが何かサポートできることがあれば、いつでも教えてくださいね」と答えていたころ、あら、これはおばさんじゃあなかろうかと。

    髪をひっつめて、凛とした佇まいの、猫を飼っていて、一見厳しそうだけど、実はしっかりと親身になってくれる。みたいなおばさん像をイメージしているんだけど、今はまだ未熟が故、ブレブレ。いや、おばさんだって女海賊のように完全無欠じゃなくていいはず。ブレてこ。いや、でも演出家としては一貫性が…

    「老い」や「若い世代の出現」って、怖かったり不安になったりするスティグマもあるけど、おばさんという将来をイメージして人生を歩むと、もっと先まで、もしかしたら自分が死んだ先にまで、楽しみの種を蒔けるかも。と、とても心地が良い。いつか君も、(なりたかったら)、おばさんになってくれますよーに。渡せる飴が龍角散しかないけどトレードしようぜ。


    日本の新作ミュージカル作るスピードってすごいよなと感心する。特に2.5次元とかは「完成形」をゲネプロで(なぜかというとその日にビデオ取材が入るからである)用意するなんて、どうやったら成り立つのか。高橋将貴さん(ペダルや破壊ランナーではお世話になりました)の演出助手WSを受けてみたりして、いかに各セクションが初日を明確にイメージして先回りして動いているかを実感。千と千尋の神隠しのロンドン公演では、ゲネプロに間に合わせようとする日本側と、プレビューまでは制作期間でしょ?と思うロンドン側で、混乱が起こったとも聞く。そりゃそう。

    イギリスは、とにかくワークショップをしたり、プレゼンをしたり、リーディングをしたり、その過程で助成金に応募したりと、R&D(研究と開発)や、選定を繰り返して作られるから、劇場でフル尺の公演はより一握り。特にミュージカルは、脚本と音楽の力を合わせるのが肝でもあるので、破壊と創造を繰り返す方法は合っている気がする。日本に新しく出来たMusical Next Seedsも応援している。創作過程から興味を持ってもらえる環境を作れたらいいよね。だって、推しの成長過程を楽しみ、応援する土壌はあるし。

    ちょっと自分の作家性を見つめ直すに至ったのは、社会問題を意識して新作ミュージカルを作ると、念願叶って公演する頃には、時代にそぐわないかもという可能性。日本では再演、UKではロングランやツアーを目指して作るようなミュージカルなら、執筆時というよりは、上演する際に演出やプロデュースで社会との接点を示すほうが現実的じゃないかと思った。キャッツなんて猫の毛皮はぎ取って、ボールルームになったもんね(大好き)

    カラフルな衣装を着たダンサーたちが舞台上でボールルームのダンスポーズを決めている。背景には紫のカーテンがあり、照明が鮮やかに照らしている。

    舞台って、観客の目の前で、色んなプロダクションで何度も上演され直す、というのが特異で面白い基版だということを、改めて胸に刻みました。


    自分の思いを、本名で、SNSではなく、公に掲載するブログ。続けていきたいし、ふつふつと話題になって連載依頼貰いたいし、挙句には本を出したい。一回すべての「やることリスト」を止めて書いたこの時間、めちゃ大事だった。お付き合いありがとう。またね。

  • 俳優という呪い

    俳優という呪い

    明日は本番。イギリスに来てプロとして舞台に立てるなんて、それが第一目的じゃなかったこともあり普通にびっくり。「そりゃアテクシの努力と才能のお陰だよ!」と、言いたい裏腹、タイミングと巡りあわせだよな。と、分かる。だって、役を得られなかった時が実力不足だったとは思わないし。

    そう。ラッキーなのだ。この仕事を決めたときの面接で、あなたの人生を聞かせてと言われ、振り返ってみたら、ダンスを始めて、ミュージカルに出演して、バレエを本格的に習って、今度は演劇に出演して、高校ではミュージカルを創って、かと思えば振付師のアシスタントをやって、卒業と同時に2.5次元舞台に出演できるようになって、ブロードウェイミュージカルをやったと思えば、パンデミック以降はドラマやCMに出演しつつ、自分の創作を始め、今はイギリスで「I have tried to shift my career from actor to director(俳優から演出家にキャリアを移行しようと考えていて)」と、何度言ったかわからない。統一感はないが、色んな現場を観ることが出来て、すごい良い経験になったし、お金を貰って芝居をしてこれた。色んな特権や人々の助けがあったからこそ。

    今日は全体のリハーサルがあったのだけど、他の俳優たちは当たり前のように演劇学校を卒業し、キャリアを積んで来ている人たちで、個人のスキル云々の前に「演技の的を得てる」「共通言語がある」ってこういうことを言うんだろうなと感心する。

    こんなに小さなプロダクションでも、ドラマトゥルクや演出助手が居て、俳優が俳優に「軽く叩いたほうがやりやすかったら、全然やっていいよ」と言ったときに演出家が「どんなに小さなファイトシーン(殺陣)でも、殺陣師がいないなら絶対にやらないし、私は殺陣師ではないので、無しです」と宣言していて、本当に分業の文化。どっちが良い、悪いじゃなくて、イギリスでは、俳優も含めて各セクションがそれぞれ「自分の仕事をする」それをまとめあげるのが演出家、なんだなとつくづく思う。しかもめっちゃ平等。(にできるように頑張ってる(人もいる(と信じたい(お願い))))

    で、とにかく、楽しい。なんで映像よりも演劇が好きなんだろうと思うと、稽古があるからかも。アイデアと経験を持ち寄って実験する時間ってなんて豊かなんだろう。プロデューサー視点としては、その段階から将来のお客さんに興味を持ってもらえないかと感じる。絶対これは違う提案や、これだ!って思ったのにやり続けると違う気がするトライとか見たくないですか?

    僕は自分が何を求められているのか分析をして、バランスを把握した上でエキセントリックな提案をすることで俳優としての立ち位置を確保してきた人なので、それこそ「明日カノ」で有栖川るぅを演じたときはテストの一回目から「ありえない」演技プランを提出し、採用してもらった。ヒリヒリするけど、リスクがめちゃくちゃ高いので(相棒みたいな現場ではやらないし)、もうちょっと時間のある稽古場でやれた方が、さらに複雑な提案ができる。

    「あ~、台本を読むときくらいスムーズに英語が喋れるようにならないかな~」、と、「あ~、これでもうちょっと演劇で生活が安定する世界だったらな~」というため息。何十年と向き合ってきた「演技」とまた会う事ができて、戯曲を身体に通して、自分に、舞台に、相手に、客席に届けたり、なんっっっっっっっって素敵な時間なんだろう。好きなバーの店主から「無駄だよ。君は観られるために生まれて来てる人だから~」と言われて、ぞっとした夜を思い出す。血がざわめくような小さな高揚感が、恐ろしい。

    今は学びたいことが多くて、より自由(かつ戦略的に)創作ができそうな演出家を多く名乗るだろうけど、別に俳優であることを辞めなくたって良い。はは、未練とは違うんだよ。未練とは。これは、呪い。

  • BOY PARTS by ELIZA CLARK book review

    BOY PARTS by ELIZA CLARK book review

    It’s such a scary and weird novel. I was suffering from nightmares while reading without drugs and alcohol. First off, this novel might be well-written with its tricky word choices and British cultural sarcasm (e.g. Londoners looking down on Newcastle), but of course, I didn’t understand it 100%, maybe just 34% or 19% as an English Beginner. Still, the story’s range, shifting from a bitchy artist’s ramblings to a nose-candy-fueled night, to pure romantic love from Tesco, to BRITISH PSYCHO, was incredible.

    We should have detached emotionally from a novel like this, but the self-destructive lifestyle kept reminding us of our cringy youth. This intentional attempt to evoke our empathy was skillfully written, as I didn’t realize it until the very end. However, My reaction to the story was like, “Go straight to therapy,” but when someone starts to dislike themselves (even if they say they love themselves), who the hell can care?

    The mentally fragile narrator’s storytelling was very uncomfortable. My feminist spirit tried to feel compassion for her when she got sexually assaulted or when she felt underestimated in the male-dominated art world, but the reality of her violence and the way she hid her paedophilic work (it’s mentioned from the beginning) just broke me. Yes, she’s just another slightly racist mom’s kid, funded by gay men who want to hang photos of young, slim boys or “artistic gore” in their homes. The world is sick. MAKE GREAT BRITAIN AGAIN.

    When emerging artists think about gender, they often try to flip the script on their social position. But if you don’t add anything new, it’s just a mass-produced cliché. Unfortunately, her visual impact was easily absorbed by a bunch of lechs. Does that mean she’s just as bad as Johnny Kitagawa (the notorious producer who exploited young boys) or Abercrombie & Fitch with its exclusionary, problematic marketing? Her art teacher clearly said “You’re not making art here you’re making porn … The world doesn’t need more nasty, voyeuristic photography, does it?” Agreed, but not enough words to stop her.

    I don’t want to read any more books narrated by dull narcissists, but she completely inhabited my world while I read. If she were in front of me, she’d roll her eyes at my accent and I’d probably need subtitles to understand what she was saying.

  • 1万ポンド貯めたから細々と使うよって話

    1万ポンド貯めたから細々と使うよって話

    これまでの人生、ずっと自転車操業をしていて、総残高が増えることは無かった。バイトをしては生活費に消え、俳優としてのギャランティが出たら、観劇費用や自主製作の作品に消え、スマホが壊れては、買い直した。ロンドンに渡るときは、ビザ申請や航空券、今も続く円安が相まって、銀行を覗くのが怖かったけど、生活の基盤となるバイト先や家を見つけてからは、何とか落ち着いた。家は何度か失いましたが…。

    とにもかくにも、普通に働きつつ全然贅沢をしなかったことで、1年で10,000ポンドが貯まった。190万円くらい。ヨーロッパ旅行に一切行っていないし、出来る限り外食はしない。持って帰るのが大変だからと服も買わず、交通費節約のためによく歩く。観劇は一番安い席を買い、幕間のアイスクリームも我慢している。お金を使うことに慣れなければ、憧れるものを変えれば、意外と成立するんだな。と、ある種の実験でもあったけど、全然おススメはしません。ひもじい。

    初めの頃は、週に35時間程度働いていたが、昇給したのもあって、30時間に減らし、先月から20時間に減らした。流石に週20時間では生きていけないので、貯めた1万ポンドを切り崩す所存だ。というのもまあ、2025年の夏にはビザが切れるし、バイトする為ロンドンに来たわけじゃないから、家計簿と睨めっこして、創作と勉強のために勇気を出して得た時間。正直、ちょっと怖い。今後も安定してお金が入ってくる予定は日本にもUKにもないし、右肩上がりの銀行口座を見るのは初めてだった。


    よく、こっちで活動している日系の演劇人とも話す。あわよくば、演劇系の仕事をロンドンでゲットできたらと思ってはいるけれど、ポッと来て、英語もまだ勉強しているような自分が、複数のアクセントを使い分け、言語の奥底にあるニュアンスを理解し、かつ演劇の英才教育を受けてきているアスリートのような人たちと肩を並べるのがどれほど難しいか実感する。

    ただ、東アジア人を探しているオーディションなら審査に残りやすいし、信じられないほど歌がうまかったり、ダンサーやフィジカルシアターの技術、衣装や照明のようなスキルと経験、もしくはそういった大学に行っていれば、話は違うだろう。ただ、グローバルタレンテッドビザというアーティストとして、こちらに残るビザを申請しようとするなら、UK以外での活動実績も必要なので日本でキャリアを積んで来て良かったとも言える。けれどそれは、運というかタイミングというか、特権というか、どこで生まれ育って、どんな環境に身を置くかまで人生をコントロールするのは難しいし、個人の努力でなんとかできる範疇を超えているとも思う。

    キーボードが置いてあるスタジオで、歌っている僕と、俳優のジョシュア二人とも、立って、楽譜を手にしている。


    先日、NOW LOADINGを演劇プロデューサーたちにプレゼンテーションする機会に恵まれた。300作品との熾烈な競争に残れたら、今度は劇場で短いパフォーマンスができる。そこでプロデューサーや劇場とコネクションを作れたら、小さなスタジオでワークショップ公演してみるか。みたいな話になるかもしれない。お客さんを集めて公演を主催する前に、試演して、フィードバックを貰いながら、創作が出来るシステムがあるのは、こちらの演劇業界の気に入っているところ。しかし、英国人にウケる舞台という大きな壁にもすでにぶち当たっている。まあ、現実はいつも想像を超えるので「We’ll see.(さて、どうなるかね)」ですね。

    それに比べると、本を読んだり、演劇を見て学んだり、ブログを書いたり、日々健康に過ごそうとすることって、地味だけど一つ一つ積み上げて、世界が広がってゆく、もしくは感覚が研ぎ澄まされてゆくような感覚があるし、どういう道にたどり着いても、私を形成するものになるだろうから「確固」って感じがする。

    そんなこんなで余裕のある時間を始めてみたら、大学院やWSの情報をきちんと探す時間ができて、受講したくなってきたけど、突然18,000ポンド(360万円くらい)の授業料でーす。ビザ費用と生活費はもちろん別でーす。とか言われるので、1万ポンドでも、切りつめ生活でも、太刀打ちできないのでありました。

  • On the Stage Out of Place

    On the Stage Out of Place

    My working visa is set to expire next August, and the question of whether to apply for a Global Talent Visa is looming large. But I can’t help wondering—will staying here, even as a struggling director, be worth the sacrifice?

    I moved to the UK from Japan in September 2023, and when people ask, “What brings you to London?” my answer is simple: to explore and immerse myself in the British theatre scene. I began my acting career right after high school—attending drama school is a less common path for actors in Japan. Since then, I’ve had standout roles on stage and appeared as a main guest in a TV drama. In 2020, I started reflecting on my career and transitioning into directing -a long- held ambition.

    While creating the musical ‘NOW LOADING‘, I realized I wanted to learn more even if I stopped building my career. I have learned a lot through reading, seeing theatres, taking the course in NEW EARTH and living in London. And I started thinking about staying here.

    This is a self-tape for the NEW EARTH

    MONEY & VISA: To stay in the UK, I have two options: enrol in an MA program for a graduate visa (costing over £18k plus nearly £5k for the visa) or be recognized by Arts Council England (about £6k, but no guarantee of work), of course, while paying living expenses and tax. I can’t help but admire how clever this system is. Perhaps Japan should consider adopting a similar model. But here’s the problem: I don’t have that kind of money. Working 65 hours a week to afford it isn’t feasible either. I want to dedicate my time to research and, just as importantly, stay healthy.

    CAREER: I’ve finally connected with a few organizations and performed my original musical in front of theatre producers, which I’m proud of. But I can’t ignore the significant gap between me and the British in the industry. I strongly believe that language plays a crucial role in the theatre industry—beyond just definitions in a dictionary. However, I only started using English last year, and I face the reality of how much I still struggle with it every day. I can communicate with friends, but it requires extra effort from them to understand me. But who will hire me for paid theatre work? And I also think that East Asians raised in the UK should be given more recognition than I am, as they face a great deal of underestimation and discrimination. I came here by choice – my responsibility.

    I want to immerse myself in British theatre culture. It’s been inspiring, even though I’ve encountered more mediocrity than expected. I love the development process here. In Japan, there’s a preference for “finished works” even in the fringe scene. Long runs and reviews by critics are rare, and musicals there are created quickly and often only run once, like fast fashion. Well then, how can I satisfy the expectations of a British audience, especially when the industry is so steeped in its own national identity? I love Operation Mincemeat but also why does no one point out its nationalism? Is it because it’s a ‘British Musical’? I’m not claiming one system is better than the other—I only wish I could draw from both, depending on what I want to create. I know that’s a lot to expect.


    Oh, London, what are you looking for? Are you only looking for an ASIAN-looking native speaker? Is there even a place where I can scrape a living in theatre? Why wasn’t I selected for the ensemble in My Neighbor Totoro? Why was the commercial in which I was in a lead role cancelled?

    I also fear working in the theatre industry in Japan, where there is little openness to the queer perspectives. When I suggested a queer reading of The Happy Prince by Oscar Wilde, a younger person told me, “That’s not the general interpretation.” But I also recognize that the UK theatre industry has been shaped by the ongoing efforts of many people, so perhaps it would be better for me to find my own path and contribute to those efforts in Japan. Also simply, I’m frightened of earthquakes and abnormal weather too.

  • さよなら、Twitter。

    さよなら、Twitter。

    ここでブログを書き始めてから1年と少し。もともとTwitterが危うくなってきて退散してきたけど、僕の信条に反する方向に舵を切るであろうTwitterに残り続けるのは心地よく無いし、天羽尚吾のブランディングとしてもよろしくない。だから決めました。きちんと。さよなら、Twitter(Xを使った覚えは無いので一生Twitterと呼ぶよ)。

    公式サイト

    今、あなたが読んでいらっしゃるサイトです。いらっしゃい、お茶かコーヒーでも飲む?デカフェもあるよ。
    一番来てもらえて嬉しいかも。ロンドンの暮らしや、演劇について、内向的な考察などの記事を執筆していて、僕自身のびのびと使っています。

    お気に入りの記事
    天羽尚吾のジェンダーについて
    過酷なロンドン部屋探し
    イギリス演劇50本総まとめ

    Instagram


    日常からブログの更新、仕事のお知らせなど、最も更新しています。今は日本語と英語どちらも書くようにしています。アート写真のモデルをしたり、自分の身体性を探ったりも(その想いについての記事:肌に黒線)しているので、たまにセクシー(?)な写真があるかもしれません。

    Bluesky

    実は細々とやってました。どちらかというと、ブログの下書き、ミュージカルオタクの演出家としての考察や、社会的な課題についてなど、今日の今日まで半分裏垢だと思って呟いていたので、運営方針は謎です。

    YouTube

    特にチャンネルとして運用しているというわけでは無く、動画ファイルの置き場所として使っているのですが、3週間に一度くらい、ちゃんと始めようかな~~でも向いてないんだよな~~~。を繰り返しています。チャンネル登録や高評価、再生はいつでも嬉しいです。

    Spotify


    ミュージカル「NOW LOADING」制作中に、俳優・作曲家の海老原恒和とポッドキャストをやっていました。今はお休み期間ですが、いつかまたやるかも。

    RSSフィード

    RSSリーダーを使っている方は、こちらを登録していただければ更新情報が来る…はず…?メーリングリストかLINE公式アカウントを立ち上げようかなとも思っているのですが、またTwitterみたいに移行しなきゃいけなくなったら大変なので保留中。


    と、現在の天羽が発信している情報源はこんな感じです。とりあえず分散させているけど、SNSの時代すら終わりつつある気もしているし、創作や執筆で忙しくなって更新を怠れるようになりたいとも思います。ただ、演劇を続けていくのなら宣伝できる場所は必要だし、いまTwitterでしか繋がれていない人たちとも、どこかでまた。と願っています。このお知らせが届いたなと思う暁に、まずは鍵垢にしようと思います。

    このサイトデザインが野暮ったいのは百も承知なので、どうにかリニューアルしたいのですが(記事の上にあるソーシャルアイコンにある変な丸が一生消えない…)、なかなか時間やお金やセンスが。

    追記2024年12月8日 リニューアルしました!

  • イギリス演劇50本総まとめ

    イギリス演劇50本総まとめ

    配信も含め50のミュージカルや演劇を観ました。基本的に、劇場に楽しみに行くというよりは、インスピレーションを得たり、観客の反応やプロデュースの方向を探るような感覚で通っているので、あまりワクワクしないというか、身もふたもない感想が多いことをお許しください

    MENU

    1 Frozen the Musical ★★★★☆

    ハンスやクリストフとの愛欲より、エルサとアナの愛や、エルサのアイデンティに焦点が当たっているように感じて、クィアな演出に感動。

    2 The Burnt City by Punchdrunk ★★☆☆☆

    前回ロンドンに来たときに衝撃を受けたイマーシブ劇団Punchdrunkの新作だったが、大味になり、観客の楽しみ方が偏り始めてきていること、俳優が観客に絡む演出など、苦手だった。

    3 Hamilton ★★★☆☆

    正直物語は、ホモソーシャルだし、決闘はするな、都合よく女性を描くな。なんだけど、パフォーマンスが凄すぎて(しかもロタリーで最前列が当たって)前半40分くらいずっと泣いてた。You’ll be backでも泣いてたので、キングジョージに怪訝な目をされるファンサ貰った。

    4 Sunset Boulevard ★★★★★

    Jamie Lloydのカメラを大胆に使ったモダンな演出。「この作品って既にオールドスクールだし、ハリウッドの資本主義ってねぇ」を逆手にとって、老いとかエゴの輪郭をビシッと描いていて最高でした。

    5 My Neighbor Totoro ★★☆☆☆

    家族で観れる新作演劇があまり成功していなかった中で、多くのアジア人キャストを集め、組織的な人種差別から立ち上がろうとするバービカンが創った意義は大きい(が、しかし…)。プロダクションとして評価をするが、そもそもとなりのトトロを演劇にする際にセリフが必要なのかとか、芝居の流れとムーブメントの断絶、突然の歌唱シーンなど、美しくなかった。

    6 Crazy for you ★★☆☆☆

    1992年のブロードウェイミュージカルで、コメディの手数が多いし、パフォーマンスは洗練されていたが、女性がモノとして消費されている感が凄くて、92年ってこんな感じだったのかと驚いた。「踊りがあれば幸せ」ではないというか、踊れる環境自体、どれだけ恵まれてるかみたいな批判的視点が欲しい。

    7 DEAR ENGLAND ★★★☆☆

    スラングや、アクセントが分かり切らないことも多く結構悔しかった。テッドラッソを観た後だと既視感を覚えてしまうが、会社帰りに同僚と来るような新規層も獲得したらしく、素直にすごいと思った。サッカーの演出は、2.5次元でもっと高度な演出を観ている。

    8 Show Stopper ★★★☆☆

    即興のミュージカルショー、休演日の月曜日にマチルダの劇場を借りて上演されている二毛作が面白い。ミュージカルの教育やcommon senceがあれば、こういうことが可能なのかと爆笑したし、なんか近しいことはいつもやっている気がする。しかし、パフォーマンスとして成立している実力とシステムが凄い。笑い転げた。

    9 Pacific Overture ★★☆☆☆

    太平洋序曲は、高校生の頃に大好きなミュージカルだったが、今はこれをどうやって観れば良いのか、兎に角、植民地支配への批判が足らず、目新しさも無く、ステレオタイプを助長する、多くの課題を残すミュージカルだった。しかし、どうやったら演出できるのかと言われたら、新作ミュージカルにしちゃだめですか。と答えたい。

    10 Cold War ★★★☆☆

    映画が原作の舞台。ステージングがスムーズで美しかったが、映画の印象を超えない。音楽も映画のほうが多様だった。この舞台の上演がいつ決まったのかによるが、イスラエルやロシアによる戦争がすぐ隣で起こっている中で、演劇の意義がぼやけた。

    11 Cabaret at the Kit Kat Club ★★★★★

    唸らされた新演出のキャバレー。ブロードウェイにトランスファーもしましたが、物語と歴史、その新解釈と、衣装の美しさ、キャストの個性、劇場に入った瞬間に始まるイマーシブな経験から、照明までが複雑に絡み合った総合演出が見事。友人が「あんなにクィアだった人たちが社会主義に飲み込まれる。社会主義側からはある種のハッピーエンド」と言っていて、それを目の前で体感させる威力が半端ない。

    12 Six The Musical ★★★★☆

    キャストレコーディングを何百回も聴いているので、ライブに行く位の感覚でしたが、会場全体で「We’re SIX!」となれる時代・場所に生まれて良かったと思うし、じゃあその次の為に協力して戦わないとなと、奮い立たされた。日本版SIX行きたい。自分で訳してた歌詞について

    13 Guys & Dolls ★★★★☆

    観客が俳優と同じ場所に立つことが出来るイマーシブシアターとして作られていて、中央にあるセリによって舞台がどんどん変化します。僕はお金払って舞台に立ちたくないので席に座って観ましたが、Daniel Mays演じるネイサンの派手じゃないのに機敏なムーブメントがセクシーで、スカイがゲイと踊っているところをサラが嫉妬するなどの丁寧なアレンジが相まって完成度が高かった。

    14 The Faggots and Their Friends ★★★★☆

    カルト的な詩と物語から生まれたコンサートのようなショーのような演劇のような時間。この抽象的な作品を満杯の観客で観られた幸せ。

    15 WICKED ★★★☆☆

    感想はブログに

    16 BEFORE AFTER ★★☆☆☆

    日本で何度も上演され、今回が初めてのステージでの上演となった二人ミュージカル。美しいメロディーがたくさんあったが、単なるラブストーリーにあまり興味は無いし、演出やアレンジも冴えず、何を意図して上演したのか分からなかった。

    17 Everybody’s Talking About Jamie ★★☆☆☆

    ‘And You Don’t Even Know it‘なんて、擦り切れるほど聴いていたので楽しみにしていたのだけど、ほんとに過去のミュージカルに触れて育った人が作った作品か?と思うくらい、映像演出や、曲の導入、そしてジェイミーが学園内で権力を手にして人を傷つけるために使ってしまうストーリーが残念だった。ディーンがかわいそうすぎる。

    18 Operation Mincemeat ★★★★★

    出会ってしまった。フリンジから駆け上がって、オリヴィエ賞を受賞し、今度はブロードウェイに漕ぎ出すブリリアントな作品。正直、ナショナリズムや行ってきた植民地支配への視点が欠けていて、顔をしかめるところもあるのだが、5人の俳優が性別や年齢を超えて演じる創意工夫のある演出や、巧妙な音楽、一番「おもしろい」作品だった。

    19 INK ★★★☆☆

    パパイオアヌーの新作だったが、前作のほうが複雑で好み。

    20 King and I ★☆☆☆☆

    ステレオタイプなアジアの描き方や、植民地支配への批判のなさ、何故この作品が演出を変えずに上演されているのか、しっかりとダメな作品だった。Blueskyでの感想

    21 Shrek The Musical ★★★★☆

    ディズニー映画のミュージカルを、よく吸収した上で、アレンジを効かせた良作アダプション。シュレックのソロ曲終わりに観客が拍手したのに「ケッ」ってはけたところがかっこよかった。

    22 MJ the Musical ★★☆☆☆

    音響は最高で、パフォーマンスは上手だったけど、マイケルジャクソンの新しい側面を描いていたわけでもなく、権力を持った状態でパワハラ気質っぽいところなど、今この人をショウアップさせて、何がしたいのか。ストーリーが凡庸だった。

    23 Standing at the Sky’s Edge ★★★★☆

    60年の時を交差させながら、イギリスの郊外にある団地に住む人々を描いたミュージカル。ポップで詩的なナンバーと、繊細でパーソナルな話が好みだった。でも悲しさの中心は殺人事件にしないほうが良いと思う。

    24 The Seagull ★★★★☆

    サンセット大通りのジェイミーロイドによるかもめ。B級感を楽しみつつ、テーマ設定が巧妙。

    25 Don’t. Make. Tea. ★★★★★

    眼咽頭型筋ジストロフィー (OPMD)で足が不自由になり、視力の低下したクレアの下へ、助成金を申請できるかを審査する人が来る。ジョークを言えるくらいなら健康に問題ないはずだと、助成の基準を上回ってしまい、フルタイムジョブを紹介すると言われ、松葉杖で職員を殺してしまう。BSL(イギリスの手話)と俳優の動きを説明する音声、字幕が演劇に組み込まれていて、素晴らしい体験だった。ことあるごとにこの芝居を語っている。

    26 Operation Mincemeat [2nd]★★★★☆

    初めての2回目の観劇だよ。イギリスで。新キャストで3回目も観たけど、えぐみが減ってしまった。ハーモニーは綺麗。

    27 Two Strangers (Carry a Cake Across New York) the Musical ★★★☆☆

    二人芝居のミュージカルで、大きなストーリー展開は無いのにキャラクターの描写がユニークで引き込まれる。

    28 MOULIN ROUGE THE MUSICAL ★★★☆☆

    友達と観にいったら、誕生日祝いにワインを開けてくれて初めてミドルクラスのように芝居を観ましたが、大正解。これはワイン片手に笑って盛り上がって観る、くだらなくて面白いミュージカル。クリスチャンの歌が上手すぎて、君が歌姫。Blueskyの感想

    29 Sister Act The Musical ★★★☆☆

    キャストの歌唱力のバランスが断トツで、ダンスがしっちゃかめっちゃかでも満足度高かった。

    30 HEX ★★★☆☆

    母親のリアルな悩みがおとぎ話に組み込まれているのは良かったが、棘が無い。

    31 HADES TOWN ★★☆☆☆

    すごい楽しみにしていたんだけど、ストーリーがつまらなさ過ぎて、粗ばかり気になった。オルフェウスが中音域が綺麗な人で、彼が作曲したという設定の高音域メロディーとマッチしてなくて、音楽家の道諦めたほうが良いよ…となった。せめて、主人公カップルをレズビアンにするところから出直しておいで。

    32 Splited Away ★★★☆☆

    目を見張る美しいシーンがたくさんあるので、わざわざアニメを再現しなくても良いのにと思った。アンサンブルワークや舞台セットが美しく、バランスが良かった。でもたぶんもっと笑えるシーンが無いとBritish観客は満足しないと思う。

    33 Les Misérables ★★★☆☆

    レミゼを初めて観た。新演出(とはいえ10年くらい経つんだろうけど)っぽい1幕終わりの振り付けとか、ジャベールの浮遊には唐突と思ったけど、死んだ同志たちが蝋燭消すのはカッコよかった。進撃の巨人ミュでもやってほしい。それにしても白人男性が書いた女性像だな…。今や名作というほどじゃない。

    34 Viola’s room ★★☆☆☆

    イマーシブ劇団Punchdrunkの新作は、ヘッドホンを装着し、セットの中を歩いてゆくプロダクションだったが、アトラクションのQラインみたいな感じで、人の息吹が感じられず演劇とは感じられなかった。新しい手法を実験したのは面白いけど、演劇の歴史を変えたような劇団もこんなに分かりやすく迷走する事実のほうが面白い。これなら美術館でオーディオコメンタリーを聞いていたい。

    35 Marie curie ★★★★☆

    韓国で作られたアダプション。非常にバランスが良かった。韓国がイギリスの伝記ミュージカルを創って持ってくるってすごい切込みで、私はとても好き。Blueskyの感想

    36 The little big things ★★★☆☆

    disableになった自分は自分自身を受け入れてて、ableだった自分が受け入れられないという構成が、良く練られていたミュージカル。感動するし、周りのサポートが強く、ポジティブな気持ちになれる。ただ良く出来ているからこそ、白人の割と裕福な中流家庭ありきな人生に、疎外感も覚える。

    37 Next to Normal ★★★★☆

    双極性障害に苦しめられる女性とその周囲を描いた作品で、その象徴として登場する息子の幻影が恐ろしくてグロテスクで、心を抉られた。2幕の怒涛のリプリーズや、ラストの現実的な終着点含め、素晴らしかった。キャストのバランスも良く、映像収録されていたので、配信でも見れないかなと期待。

    38 Harry Potter and the Cursed Child Act 1 ★★☆☆☆
    39 Harry Potter and the Cursed Child Act 2 ★☆☆☆☆

    あれだけトランス差別を繰り返している著者が青年同士の愛を描くって、どうしようもないなと思いながら、長い鑑賞に耐えた。色んな特殊効果はあるものの、それらが日常なのがハリポタの面白いところで、演劇鑑賞としての快感にはつながらない。デスイーターと、ケンタウロスのみ、美しかった。

    40 Kathy and Stella Solve a Murder! ★★★★☆

    殺人事件オタクの2人がポッドキャストを始めたら、本当の殺人事件に巻き込まれて…?!というヘンテコでミニマムな世界で、アンサンブルワークやマイノリティへのコミュニティ感が温かかった。「犯人はあいつだ」以降が全く盛り上がらず、ミステリーの難しさも感じる。

    41 Instant luv noodle ♥♥♥♥♥

    友達の宮野つくりさんが書いた作品で、ドタバタコメディと、心情に迫るギャップが愛おしい作品。

    42 Slave Play ★★★☆☆

    アメリカの初演では上演中止署名運動が起きるほどの問題作。しかし、今、ロンドンで観るとパンチが薄れてしまっている。Get Outが上映された翌年にアメリカでこれを見ていたらもっと印象が違うのは分かる。社会のありようは急速に変わっている。

    43 Why am I so single? ★★★☆☆

    SIXのクリエイター陣による新作が、まさか面白くないなんて思いもしなかった。パジャマパーティーをのぞき見しているような作品で、パフォーマンスは圧巻、曲も良い。だけど、大きい劇場で観るミュージカルとしての満足度が低く、ストーリーの吸引力が弱かった。クィアの中でも一部の人しか巻き込めていないような気がする。

    44 Kiss me kate ★★★★☆

    流石に古い作品なので、展開はゆるく退屈なシーンもあるが、回転式の舞台と元の脚本にあるミソジニーを皮肉り、メインではないものの圧巻のダンスシーンで同性同士のペアダンスがあったり、画期的ではないが良質なリバイバル。

    45 Mean Girls ★★★★☆

    学校の序列に参加しないクィアがクールな語り手となって、誰がMeanなのかを突き止めるのではなく、構造を解体することに着目しているのも良かった。Caseyの振り付けは、音楽との一体感を生むでも、新しい解釈を与えるでもなく、終始ごちゃごちゃしてて酷かった。(去年トニー賞獲ってましたけど)

    46 One Small Step ★☆☆☆☆

    俳優の緊張感のある芝居と、セットデザインは良かったが、意図の汲み取れない演出、退屈なのに意義もない物語が残念だった。日本語の脚本で観たら異なるかもしれないが、女性が子供を産む・産まないという話に、何故職場が絡んでくるのかはイギリスでは理解されないだろうし、日本だとしてもそれを問題にすべきで、夫婦喧嘩として見せるものではないのではないか。

    47 LOVE BEYOND ★★★★☆

    この芝居を観るためだけに飛行機に乗り、スコットランドのGlasgowへ。手話使用者で認知症になった男を描く。パントマイムや鏡を使った舞台でしか味わえない演出が素晴らしくて、緊張感、慈しみ、エキサイトメントのバランスが上品、ストーリー自体はややオールドスクール。そして、この劇団がKAATと共同制作する『品川猿の告白 Confessions of a Shinagawa Monkey』が11月に神奈川で上演。イギリスで観るためにはもう一度グラスゴーに行かなくちゃいけないのか…。

    48 The Lefman Trirogy ★★★★☆

    今更私が語らなくても…上の方の席で観ると、舞台セットの天井によって何も見えない時間があります。

    49 The Curious Case Of Benjamin Button ★★★☆☆

    映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」と同じ原作をミュージカルにした作品。出演者全員が演奏家でもあり、臨場感のある音楽経験が楽しい。このミュージカルがBESTになる人もいるだろうが、個人的には佳作の域を超えない。この設定ならもっと面白い演出や物語の展開があるはず。

    50 Macbeth ★★★☆☆

    観客はヘッドホンを付けて、バイノーラルサウンドを使った演出を目撃するマクベス。魔女が耳元にいるような感覚、策謀するささやき声が、映画と演劇の中間のような緊張感を生む。これまで、シェイクスピアは英国アクセントでないと。と考えていた節があったが、マクベス夫人を演じた俳優のCush Jumboによるナイジェリアアクセントもまた素晴らしく、戯曲読解や言葉の意味の知識は必要だろうが、どんなアクセントでも魅力的になりうると確信。


    UKの演劇界を知れば知るほど、自分のスタンスも変わってくるし、何より良かったのは別にロンドンの舞台だからって全部面白いわけじゃないというのが確信できたこと。NTliveを観ていたときは、もっと崇高なものだという心構えの上で観ていたかもしれないし、なんならただ戯曲が面白い(字幕を読むだけで楽しい)だけだったものもある。演劇やオペラをもっと観劇したいなと思いつつ、こんな身もふたもない批評に付き合ってくれる友達はいつでも探しています。もし、もっと詳しく感想を聞きたい作品などありましたら、お申し付けください。